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皆さんこんにちは!
株式会社SELECTの更新担当、中西です!
さて今回は
~多様化~
建物にとって「水」は最大の敵の一つです。雨漏り、浸水、結露、劣化――これらはすべて建物の寿命を縮め、資産価値を損ないます。そうした水の脅威から建築物を守るのが「防水工事」。
かつては、屋上やベランダに防水シートを貼る、またはコーキング材を打つといった限られた方法が主流でしたが、近年の防水工事は技術、素材、施工対象、目的などあらゆる面で大きな多様化が進んでいます。
防水工事における多様化の実態を深く掘り下げてご紹介します。
現在、防水工事では建物の構造・立地・使用目的・予算などに応じて、さまざまな工法が選べるようになっています。
アスファルト防水:耐久性が高く、大型建築物や屋上に多く採用。
ウレタン塗膜防水:液状のウレタン樹脂を塗布。複雑な形状にも対応可能。
FRP防水(繊維強化プラスチック):軽量で強靭。ベランダやバルコニーに最適。
シート防水(塩ビ・ゴムなど):工場で成形されたシートを貼付ける。安定した品質。
浸透性防水材:コンクリートに浸透して内部から防水する次世代素材。
これにより、防水工事は「決まった手法を施す」ものではなく、カスタマイズ型の技術提案業務へと変化しています。
かつての防水といえば「屋上・ベランダ」が中心でしたが、現在では施工対象が大きく広がっています。
地下ピットや基礎構造の防水
外壁のシーリング再施工(打ち替え・増し打ち)
屋根の防水・塗装との複合施工
浴室・厨房など室内の漏水対策
屋上緑化やソーラーパネル下の防水層整備
このように、建物全体のあらゆる“水の入り口”に対応する施工が求められており、防水工事業者には建築的視点と構造理解が欠かせなくなっています。
近年の防水工事は、「雨水を防ぐ」だけでなく、機能性を付加する方向へ進化しています。
遮熱・断熱機能付き塗膜防水:屋上の温度上昇を抑え、冷房コストを削減。
遮音・防振性能付きの多層防水材:集合住宅や工場などに活用。
省メンテナンス型の自己修復塗膜:軽微な傷を自己修復し、防水性を維持。
環境対応型材料(低VOC、防カビ、防藻):健康や環境に配慮した防水材の登場。
このように、防水工事は「構造を守る」役割だけでなく、「快適な生活環境づくり」や「エコへの対応」といった社会的価値の高い機能を担い始めています。
顧客ニーズの多様化に伴い、防水工事の提供スタイルも柔軟になってきています。
短期集中型(1日仕上げ)のウレタン防水パッケージ
ドローン・赤外線カメラを使った雨漏り診断の可視化
定期メンテナンス契約による長期品質保証プラン
賃貸物件や工場向けに防水+原状回復セットで提案
また、リフォーム業者やハウスメーカーとの連携、法人施設管理者への年間契約提案など、単発型から継続型のビジネスモデルへシフトする企業も増えています。
防水工事は建物の“裏方”ですが、利用者の生活や事業活動に直結します。そのため、建物用途ごとの配慮・提案力が求められる仕事でもあります。
病院・福祉施設:臭気・騒音を抑える施工工程の工夫
工場・倉庫:荷物移動を伴わない施工や稼働停止なしの工法選定
ホテル・商業施設:外観を損なわない意匠対応、防水層の美観保持
住宅・アパート:入居者説明や保証書対応、長期メンテナンス契約の柔軟性
こうしたきめ細やかな対応力こそが、防水工事の付加価値を高めるカギとなっており、施工力+提案力の両立が業界全体の課題にもなっています。
防水工事の世界は今や、かつての「一律なシート防水」の時代を超え、
技術の高度化・選択肢の拡大
建物全体への多面的な対応
機能性・環境対応の付加価値化
サービス提供モデルの変革
という形で、多様化の時代を迎えています。
防水は「目に見えにくい」仕事でありながら、その技術と判断一つで、建物の寿命・資産価値・快適性・安全性が左右されるほど重要な役割を担っています。
防水工事業者は今後、ますます「技術者」であると同時に「課題解決者」「建物の未来設計者」としての役割を強めていくことになるでしょう。